尾高忠明指揮 札幌交響楽団 シベリウス 3&1番

 2013年から始まった、尾高忠明指揮、札幌交響楽団シベリウスチクルスも今回で終わりとなる。私は毎年、聴きに行っている。今週末も行くつもりである。

 私の2013年のレポートがあるので、載せることにします。

 

 札響定期シベリウスプロ感想。尾高忠明指揮。はじまりはフィンランディア。愛国的熱狂とは、対極の演奏。テンポもダイナミクスもスコア通りの模範的演奏という感じか。尾高氏は腰から下は、全く動かず。上肢による指揮。

 続いて交響曲第3番。1楽章、フィンランディアとはガラリと変わって明るさを全面にだす。尾高の解釈がよくわかる。これが音楽監督の演奏というものか。尾高のオケへの指示が、指揮からよくわかる。要所をしっかりとおさえて流さない。ホルンが抑え気味だったのが印象的。

 2楽章。シベリウスの妙ちくりんんなオーケストレーションが楽しい。アンダンテ、冗長にならないギリギリのテンポ感。
フィナーレ。低弦をしっかり歌わせる解釈。終結に向かってどんどん重くなるのは、評価が分かれるかも。疾走する演奏しかディスク持っていないので、意外だった。全く違う印象。

 後半は第1番。冒頭の夜明け前、クラリネットブラボー。後ヴァイオリンを歌わせながらもどんどん流れる。全体のテンポは中庸。尾高の棒はフォルテも暴れない。2楽章。中間部の吹雪の演奏がすばらしい。ここのトゥッティはピタリとはまる。前後の弦の弱奏がもっと響くと良かったと思うのは欲目か。

 3楽章。早めのテンポ。そのなかで木管のアンサンブルが凄い。この楽章が一番オケのバランスが良かった。フィナーレ。結構難曲。冒頭ユニゾン。尾高の解釈が、オケにしっかり伝わる。アレグロも、棒がオケを抑制。後半の民族的演歌的落涙的メロディは切々と歌う。

 終結の難しいところは、オケに無理をさせずまとめる大人の演奏。終わってしばらくの静寂も良かった。客席は、拍手とため息。中間の民族舞踊の部分は金管と打楽器が強かったが、これは私の席のせいだろう。なかなかの名演。来年は、2番と4番。来年は向かいの尾高シートにしようか。

 

(2013年3月記)