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うづくまるわが片頬に光さし自負の心のたかまらむとす(三國玲子)

作者はうずくまっている。なぜ、うずくまっているのかは、わからない。わからないけれど、うずくまっているというのだから、体をまるくしてしゃがみこんでいる。そして、おそらくはしばらくの間、そのままでいたのであろう。そこに、光が差してきた。光が朝日なのか、あるいは希望の光とでもいうものなのか、なんなのかはわからない。とにかく光が作者の片頬にあたった。

 そして、四句目だ。これが、この歌のポイントだ。「自負の心」である。作者はうずくまっていたが、光を片頬に受けたことで、自身のなかから「自負の心」がたかまってきたというのである。

 なんて若々しく、力強い歌なのだろう。「自負の心」と大上段に歌われては、私はもう作者の前に平伏したい心境にすらなる。

作者が、戦後の女性の社会進出を背景として、自立した女性像を詠んだ先駆であったという来歴もまた、この歌の力強さを補完しているといえよう。

 

「短歌人」2015年1月号所収