2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

短歌の<私性>と<リアル>②

前回とりあげた作品はこれだ。 たくさんのおんなのひとがいるなかで/わたしをみつけてくれてありがとう 今橋愛『О脚の膝』 きのうの夜の君があまりにかっこよすぎて私は嫁に行きたくてたまらん 脇川飛鳥 これら作品について、次のような論点を提出した。 す…

短歌の<私性>と<リアル>①

さて、「私性」についてのお喋りであるが、今回からは、また違った視点から議論していきたい。 今回からは、読者側ではなく、もっぱら作品を作る側、つまり作者側からの視点で「私性」を議論してみよう。 なぜ、口語で歌を作る歌人は、文語ではなく、口語で…

短歌の<私性>とは何か④

前回からの続きである。 「主体」「話者」「作者」の3者の批評用語で、短歌の読み直しをしていたのだった。 この3者を出すことで、これまでの現代短歌が、また違った様相を示すようになる。 終バスにふたりは眠る紫の<降りますランプ>に取り囲まれて 穂…

短歌の<私性>とは何か③

前回までに、3つの批評用語がでてきた。「主体」「話者」「作者」の3つだ。これは、今日の短歌批評では別人である。 「主体」は作品の中の<わたし>。小説でいえば「主人公」。 「話者」は作品の中の語り手。小説でいえば「地の文」を語っている人。 「作…