2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

連作の「読み」とは②

短歌の「連作」についての2回目である。 前衛短歌運動のなかで勃興した、大きな主題を扱う「連作」については、前回否定的に述べた通りである。 では、そうした前衛短歌運動での「連作」ではなく、数首詠ったものを、順番に並べるようなよくある連作という…

連作の「読み」とは①

今回から短歌の「連作」について、議論してみたい。 短歌を一首単位ではなく、「連作」として、意識的に創作されたのはいつからだろうか。 と、考えると、古典和歌にまでさかのぼってしまうのだけど、そこまでさかのぼる余裕はない。なので、『万葉集』に連…

短歌の一首評について

下にあげるのは、河野裕子の作品である。 限りある生を互みに照らしつつほたるの点滅に息合はせをり 河野裕子『桜森』1980年刊 たとえば、私が、この歌を批評せよ、と言われたら、粗々こんな感じになる。 上句で主体は蛍へ心を寄せているのがわかる。初…

短歌の「読み」について②

「読み」の話題に2回目である。 鶴田の時評の関係部分をもう一度、引用しよう。 その頃(二〇年以上前―引用者)の批評会は、もう少しテキスト寄りであった。助詞・助動詞の使い方の細かい指摘や表現上の粗さ、癖などを厳しく読み、やわらかい雰囲気というよ…

短歌の「読み」について①

今回は、予定を変更して「読み」の話題について議論しよう。 角川「短歌」4月号時評、鶴田伊津「ひとかけらの真実」(2020.4)に次のような「読み」の話題がある。 その頃(二〇年以上前―引用者)の批評会は、もう少しテキスト寄りであった。助詞・助動詞の…