2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

短歌の「異化」作用とは③

前回「異化」作用とは、広義の比喩である、と主張して終えた。 それは、空を見上げて、空に浮かんでいる雲が、まるでゴジラのようにみえる、と発見したことで、ただの形状だった雲がもうゴジラにしか見えなくなってしまう、という作用と同じこと。これを書き…

短歌の「異化」作用とは②

前回より「異化」について議論をはじめた。 いくつか作品をあげて解説をしたが、前回取り上げた吉川宏志には、こんな素敵な作品もあった。 円形の和紙に貼りつく赤きひれ掬われしのち金魚は濡れる 吉川宏志『青蟬』 お祭りの縁日の金魚すくいの1コマ。水の…

短歌の「異化」作用とは①

今回から、テーマを変える。 「異化」について。 けれど、多分、内容は引き続き「韻文」についての議論になると思う。 万葉の時代から現在にいたるまで、いまだに生き残っている五七五七七の定型文芸が、現代でもなお、「短歌」と呼ばれる創作形式として存在…

短歌の「写生」を考える⑧

「写生」をテーマにしたお喋りも、とりあえず今回でまとめとしたい。 前回、次のような疑問を提出した。 それは、短歌の世界で、本当に<作者>の「主観」を排することなんてできるのだろうか、という疑問である。 筆者は、そんなことはできない、と考えてい…