2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧
斉藤斎藤『渡辺のわたし』は、会話ともモノローグともいえない独特の語り口で詠われている作品がある、という話題の続きである。 前回、掲出した作品を再掲しよう。 お名前何とおっしゃいましたっけと言われ斉藤としては斉藤とする 「こんにちは」との挨拶に…
話の流れが斉藤斎藤の作品へといったので、今回からは、永井祐を離れて、斉藤斎藤の第一歌集『渡辺のわたし』から、「わからない歌」を掲出してみよう。 「お客さん」「いえ、渡辺です」「渡辺さん、お箸とスプーンをおつけしますか」 斉藤斎藤『渡辺のわた…
前回は、「固定カメラ」「移動カメラ」という概念を使い、わからない歌を解釈した。今回も、この二つの概念を使って、作品を読み解いていくことにしよう。 今回、取り上げるのは次の二首。 赤茄子の腐れてゐたるところより幾程もなき歩みなりけり 斎藤茂吉『…
前回に続いて永井祐『日本の中で楽しく暮らす』から作品を見ていこう。 白壁にたばこの灰で字を書こう思いつかないこすりつけよう 元気でねと本気で言ったらその言葉が届いた感じに笑ってくれた この二首を読んで、どう感じるであろうか。 言葉は平易で意味…