2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

短歌の「異化」作用とは⑦

現代口語短歌の「異化」作用について議論している。 日常のありふれた光景が、日本語のちょっとした違和によって「異化」されていく、短詩型ならではの状況の「異化」作用について述べてきた。 今回は、今年、出版された平岡直子の第一歌集『みじかい髪も長…

短歌の「異化」作用とは⑥

この多様化された現代で、どうにも古くさく、さらに現代口語でやるのは実に使いにくい短歌の存在意義とは何か。すなわち文芸としての短歌の現代的意義は何か。なんてことを考えると、もう、「異化」作用くらいしかないだろう、というようなことを、このテー…

短歌の「異化」作用とは⑤

前回、大辻隆弘の論考「確定条件の力」(『近代短歌の範型』所収)を引用しながら、斎藤茂吉の『赤光』の四首を掲出した。 すなわち、 氷きるをとこの口のたばこの火赤かりければ見て走りたり あかき面安らかに垂れ稚(をさ)な猿死にてし居れば灯があたりた…

短歌の「異化」作用とは④

今回からは、状況の「異化」とでもいえる、「異化」作用について、議論する。 状況の「異化」とは何か。 まずは、これら作品群の分析からはじめていこう。 氷きるをとこの口のたばこの火赤かりければ見て走りたり あかき面安らかに垂れ稚(をさ)な猿死にて…