2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

短歌の「リアル」②

前回の続きである。 リアルの構造を解く手がかりとして、「ただ一度きり」というワードを提出したのだった。 これを頭の隅に入れながら、さらに、穂村の別の論考を見てみよう。(穂村弘「『ダ』と『ガ』の間」『短歌の友人』河出書房新社) この論考では、こ…

短歌の「リアル」①

前回までは、連作やら歌集やらの話題を取り上げたが、やはり短歌は、一首をこってりと弄繰り回すほうが面白い。 そいうわけで、今回からは、短歌の「リアリティ」について、しばらくお喋りしていきたい。 なぜ短歌には「リアリティ」が必要なのか。 この問い…

「歌集」の読み方②

前回、歌集はエッセイ集のようなものだ、という話をした。 ただ、一口にエッセイといっても、いろんな話題があろう。多くは、作者の身近にあった出来事を題材にして面白おかしく語るものだろうか。短歌も、その多くは、自分の身の周りのことを歌にする。これ…

「歌集」の読み方①

少し前、人気漫画『鬼滅の刃』の作者が女性であったことがちょっとした話題になった。一応、名前(これも、今にして思えば、中性的なペンネームだ)、や作者の自画像(眼鏡をかけたオス?のワニ)から、そこそこ若い男性漫画家を誰もがイメージしていたわけ…