2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

短歌の<比喩>②

<比喩>の話題の2回目。 今回は<隠喩>から。 <隠喩>とは、<直喩>の「~のような」「~みたいな」「~ごとき」が消えたもの、ととらえていいだろう。「綿のような雲」は<直喩>だが、「雲は綿」となると<隠喩>になる。 この<隠喩>の一般的な修辞…

短歌の<比喩>①

今回からは<比喩>をテーマにお喋りをする。 けれど、実のところ短歌の世界で<比喩>の話はもう出し尽くした感があるので、ここで何か新奇なことを言えるかどうかは、ちょっと自信がない。 それに、おそらくお喋りしていくうちに、だんだんと話がいろんな…

短歌で虚構をやる理由

前回まで、第66回角川短歌賞受賞作品の道券はな「嵌めてください」50首のなかから数首を分析したが、今年の角川短歌賞には、もう一つ受賞作品がある。 それは、田中翠香「光射す海」50首である。この連作は、カメラマンが主人公の、シリア内戦の状況を…

<抒情>のしくみ⑦

今回も、道券はな「嵌めてください」50首(第66回角川短歌賞受賞作品)のなかから、いくつか取り上げて、現代口語短歌の<抒情>の最前線を、みていくことにしよう。 改札にPiTaPaをあてるこちらからくちづけをするような硬さで 暑苦しい乳房(ちぶさ)…