2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

小池光「短歌を考える」を考える②

前回みてきた、小池の「リズム」の議論は、大枠は「短歌4拍子説」を補完しているに過ぎない、といえるのであるが、7音節の議論の部分に、新しい論点を示している。 短歌で言うと2句4句5句が7音節であるが、前回の議論のなかで小池は、 「マツモトキヨ…

小池光「短歌を考える」を考える①

今回からは、小池光による「リズム」の議論を取り上げたい。 小池には、これまで「リズム」に関する、2つの雑誌連載がある。 ① 「リズム考」(「短歌人」1979.7~1980.12 但しこの連載については『街角の事物たち』(五柳書院、1991)に所…

短歌の「調べ」について⑧

そろそろ、違う話題に入りたい感じがするが、前回の続きである。 「4拍子説」より「強弱2拍子説」のほうが短歌のリズムを説明するときに優れているのは、例えば次のような作品に顕著だ。 うらうらに照れる春日に雲雀上がり心悲しもひとりし思へば 大伴家持…

短歌の「調べ」について⑦

石井辰彦の短歌「強弱2拍子」説というのは、わりとシンプルな説で、要は、短歌は各句を等時拍で強弱の2拍子で読むことができる、ということである。 では、いつもの茂吉の例歌をだしてみよう。 もがみがわ/さかしらなみの/たつまでに/ふぶくゆふべと/…

短歌の「調べ」について⑥

「音歩」の話題の続きである。 今回からは、石井辰彦の「音歩」の議論をみていこう。 石井辰彦は、『現代詩としての短歌』所収の「短歌の構造」という論考のなかで、次のように言う。 短歌は三十一前後の音節syllableからなる詩であって、伝統的にそれは、五…