2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

短歌の「写生」を考える⑦

「写生」の話題である。 前回までの議論を整理しよう。 何を議論していたのかというと、これまでの「写生」と現代口語短歌の「写生」は、同じ「写生」でも、作品は違っているのではないか、という話題だった。 そして、その違いというのは、<作者>の「主観…

短歌の「写生」を考える⑥

前回、次のような仮説を提出した。 すなわち、現代短歌の「写生」作品は、これまでの近代短歌の読みとは、違う読みを求めているのではないか、という仮説だった。 では、この仮説を検証するために、近代と現代の2つの「写生」作品を並べてみよう。 瓶にさす…

短歌の「写生」を考える⑤

前回からの続きである。 短歌の「写生」でいうところの<私>の「感動」というのは、<作者>の「感動」から、<主体>の「感動」へと変化したのではないか、と言う話題であった。 けど、その前に、しつこいようだが、<私性>の話を今一度。 やは肌のあつき…

短歌の「写生」を考える④

話を現代の「写生」に持っていきたいのだが、なかなかそこまでたどり着けない。 とにかく<私性>を片付けないと、現代短歌は論じることができない。 <私性>を論じるときに、<作者>とともに出てくる用語として<作中主体>とか<主体>といった用語があ…

短歌の「写生」を考える③

前回からの続きである。 「写生」の話であった。 ただ、現代短歌の「写生」を論じるには、どうしても<私性>の整理をしないと、議論が混乱する。なので、遠回りになるが、今回はまず<私性>についての整理からはじめる。 近代短歌では、作品の主人公は<作…