2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

<調べ>についてのまとめ②

<調べ>についての議論で、筆者は、次の説を提出した。すなわち、 ・短歌の<調べ>は、「強弱2拍子」で読み下せるものが良い という説だ。 しかし、この説が正しいとするなら、必然的に、次のような仮説が成り立つ。 すなわち、 ・3句以外は、8音までは…

<調べ>についてのまとめ①

このBlogでは、短歌についてのあれこれについてのお喋りを1年以上ダラダラと続けている。 思いついたテーマを思いついたままに述べてきたので、だんだんと収拾がつかなくなってきた。なので、ここで一旦、まとめに入りたいと思う。 そもそものはじまりは、…

短歌の<比喩>③

<比喩>の話に戻る。 短歌の世界の<比喩>表現として、「短歌的喩」と呼ばれるものがある。 これが、なかなか面白い。 この「短歌的喩」は、吉本隆明が提唱した概念で、短歌のみにあらわれる独特の比喩の働きをいう。概略をかいつまんでいえば、短歌を上句…

再び短歌の「読み」について

短歌の<読み>についての議論で、典型的な事例があったので、今回はそれを取り上げてお喋りをしたい。 角川「短歌」2021年1月号に、新春特別座談会「見つめ直す自己愛」が掲載されている。この座談会では、馬場あき子、伊藤一彦、藤原龍一郎、小島ゆか…

短歌で虚構をやる理由②

あけましておめでとうございます。 今年もよろしくお願いいたします。 少し前に、去年の角川短歌賞受賞作品の田中翠香「光射す海」の虚構性について議論した。 この作品は、シリア内戦に赴いた戦場カメラマンを主人公とした50首連作なのだが、作者は、戦場…