2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧
前回からの続きである。 この作品の分析を通して、短歌形式の<私性>ということについて議論をしているのだった。 日本の中でたのしく暮らす 道ばたでぐちゃぐちゃの雪に手をさしいれる 永井祐『日本の中でたのしく暮らす』 この歌は、リアルタイムで中継を…
前回までは、<リアルの構造>について、議論を進めてきた。 今回からは、テーマを変えて、短歌の<私性>について議論したい。 こちらもまた、短歌にとっては重要な論点なのだが、なぜ、重要なのかというと、やはり「近代短歌」の本質にかかわるからだ。で…
<リアルの構造>について、かなりダラダラと議論したので、今回で、一旦まとめておきたい。 短歌を読んで、ああ、これは本当のことを詠っているに違いない、と読み手が実感するためには、その短歌に何らかの<リアリティ>を担保するための仕掛けが必要。で…
現代口語短歌の<リアルの構造>を探ってみよう。 前回あげた永井の歌から、もう一度検討しよう。 白壁にたばこの灰で字を書こう思いつかないこすりつけよう 永井祐『日本の中でたのしく暮らす』 この歌に<リアリティ>があるとするならば、<リアリティ>…
前回までは、口語短歌というのは、時間軸を移動させながら現在形で詠うのが基本的な方法である、ということを議論した。 では、どういう作品がそういえるのか、確認してみたい。 白壁にたばこの灰で字を書こう思いつかないこすりつけよう 永井祐『日本の中で…