2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

いらぬお節介

もう十五年も昔になるけど、一年だけ中学校で国語を教えたことがある。学校の事情で国語教師が足らなくて、若造の社会科教師だった私を、適当にあてがえたということ。当時の国語教科書には、与謝野晶子の『みだれ髪』から、この歌が載っていた。 なにとなく…

栗木京子『水仙の章』(砂子屋書房)を読む

短歌は「機会詩」としての側面を持つ。 他の文芸と比べても、短歌は社会事象にコミットしやすい詩形であろうし、私たちが社会事象から受けた心象を、詩へと昇華することについても、比較的容易にこなせる詩形といえよう。 角川「短歌」は、東日本大震災から…

『春の輪』 髙橋みずほ歌集

『春の輪』 髙橋みずほ歌集 宮城で生まれ育った作者の、幼少期の郷里をうたった第五歌集。作者と同世代であればなおのこと、そこかしこに溢れる懐かしい情景に、ひととき浸ることができよう。 豆電球に傘をつけ円卓囲むおだやかな振り子の刻み 缶蹴りの缶け…

『深層との対話』 川本千栄評論集

『深層との対話』 川本千栄評論集 著者の第一評論集。二〇〇一年からの一〇年間に書いたものより一八編を選ぶ。二章構成で、一章が「短歌にとっての近代とは」のタイトルで九編。近代という大きなくくりながら、中心となっているのは戦時詠。山崎方代、前田…

『瞑鳥記』 伊藤一彦歌集

『瞑鳥記』 伊藤一彦歌集 伊藤一彦の第一歌集が、現代短歌社の第一歌集文庫シリーズよりこの度復刊された。反措定出版局によって一九七四年に出版された「瞑鳥記」一九五首ならびに福島泰樹による濃厚な解説もそのまま再掲。さらに、今回の復刊にあたっては…

『夏にふれる』 野口あや子歌集

『夏にふれる』 野口あや子歌集 作者の第二歌集。二〇歳から二四歳まで、大学生活四年間の歌約八〇〇首を収める。ほぼ時系列で作品が編まれており、作者四年間のポートレイトの趣。 銀紙をなくしてガムを噛むように思春期が香らなくなるまでを 映画サークル…